何故空き家が増えるのか?
1. 少子高齢化と人口減少による「家余り」
日本が直面する少子高齢化と人口減少は、空き家が増加する最大の要因です。今後、団塊の世代をはじめとする高齢者が老人ホームなどの施設に入居したり、他界したりすることで、これまでにないスピードで家が空いていきます。一方で、少子化により新たな世帯数は減少していくため、住宅の供給に対して住む人の数が圧倒的に足りなくなります。地方から都市部への若者の流出も相まって、特に地方や郊外では住宅需要が急減しており、構造的に「家余り」の状態が加速し続けることになります。
2. 相続に伴う放置と手続きの複雑化
親の家を子が相続した際、すでに子は都市部などで自分の家(マイホーム)を所有して生活基盤を築いているケースが大半です。そのため、実家を相続しても誰も住む予定がなく、空き家化してしまいます。さらに、遠方にある実家は定期的な管理やメンテナンスが難しく、放置されがちです。また、兄弟間で「誰が相続するか」「売却するか否か」の遺産分割協議が難航したり、親の認知症などで意思決定ができなかったりする相続トラブルも多く、解決されないまま長期間放置される空き家が増えています。
3. 解体をためらわせる「固定資産税」の仕組み
空き家が解体されずに放置される大きな理由に、税制上の問題があります。日本では「小規模住宅用地の特例」という制度により、土地の上に住宅が建っていると、その土地の固定資産税が最大6分の1に軽減されます。逆に言えば、空き家を解体して更地にしてしまうと、この特例から外れて固定資産税が跳ね上がってしまうのです。活用予定のない土地に対し、あえて高額な税金を払いたいと思う所有者はいないため、誰も住んでいない老朽化した家であっても「節税対策」としてそのまま残され続ける傾向にあります。
4. 高額な解体・修繕費用と老朽化の悪循環
空き家の処分が進まない背景には、経済的な負担の重さがあります。一般的な木造住宅であっても、解体費用には100万円以上かかることが多く、所有者にとって手出しの負担は小さくありません。また、「賃貸に出す」「売却する」といった活用を考えたとしても、古い家屋は老朽化が進んでおり、水回りや耐震補強などの多額なリフォーム費用が必要になります。改修しても買い手や借り手がつく保証がないため投資に踏み切れず、結果的に「解体も修繕もできず、とりあえず放置する」という悪循環に陥っています。
5. 新築偏重の住宅市場と需給のミスマッチ
日本の住宅市場特有の構造も、空き家増加に拍車をかけています。日本では伝統的に「新築信仰」とも呼ばれる新築物件を好む傾向が強く、中古物件の流通市場が欧米に比べて成熟していません。人口が減少し、すでに総住宅数が総世帯数を上回っているにもかかわらず、現在でも毎年70万〜80万戸規模の新設住宅が建てられ続けています。需要が縮小する中で新たな家が次々と供給されるため、古い住宅や立地条件の劣る中古物件はますます選ばれなくなり、最終的に売れない・貸せない空き家として滞留していくのです。