空家

大相続時代により激増する空家

2026.09.02

1. ライフスタイルの変化と居住地のミスマッチ

親世代が亡くなり実家を相続するタイミングにおいて、子世代(相続人)はすでに都市部などで自身の生活基盤を築き、持ち家を取得しているケースが大半です。実家が地方や郊外にある場合、通勤や子育ての観点から子世代がそこへ移り住むことは現実的ではなく、物理的に「誰も住む予定のない家」が自動的に発生します。

2. 固定資産税の罠と高額な解体費用(経済的ハードル)

誰も住まないなら壊せばいいと考えがちですが、ここに税制の壁があります。日本の税制では、建物が建っている土地(住宅用地)は固定資産税が最大6分の1に減額される特例があります。家を解体して更地にするとこの特例が外れ、土地の税金が一気に跳ね上がります。さらに、建物の解体自体に100万〜300万円規模の費用がかかるため、「高いお金を払って家を壊し、さらに毎年高い税金を払い続ける」くらいなら、「老朽化しても建物を残したまま税金を安く抑える」という経済的判断が働きます。

3. 共有名義による意思決定の凍結と遺品整理の壁

相続人が複数いる場合、実家は兄弟などの「共有名義」になることが少なくありません。不動産の売却や解体といった重要な処分には共有者全員の同意が必要ですが、「売りたい」「残したい」など意見が対立すると、一切の身動きが取れなくなります。また、家の中に残された仏壇や膨大な家財道具の整理には多大な労力と費用(数十万円以上)がかかり、心理的にも手を付けづらいため、手続きごと先送り(放置)されがちです。

4. 「負動産」化による市場での行き詰まり

いざ売却や賃貸に出そうとしても、築数十年の古い家は現代の耐震基準や断熱性能を満たしておらず、そのままでは買い手や借り手がつきません。魅力的な物件にするためのリフォームには多額の資金が必要ですが、地方や郊外では人口減少により住宅需要が乏しく、投資分を回収できる見込みがありません。結果としてタダでも手放せない「負動産(ふどうさん)」となります。

空家放置の先に待ち受ける『行政代執行』